胆石症とは、肝臓で生成された胆汁の通り道である胆道に石(胆石)ができる病気です。胆石症は石のできる場所によって「胆のう石」「肝内結石」「総胆管結石」と呼び方が変わります。
この病気は食生活の欧米化などにより急増しており、中年以降の肥満体に多くみられます。男性より女性に多く、女性は男性の約2倍といわれています。
胆のうに病気のある人や胆石のある人は特に注意が必要で、定期的に検査をしましょう。胆石があるかないかはお腹の超音波検査(エコー)ですぐにわかります。長年放置しておくと、胆のう炎を引き起こし、危険な状態を招くことになります。胆石を取り除くことについては医師とよく相談して決めましょう。
あなたの胆石症チェック
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□食事時間が不規則である
A
□栄養素のバランスがとれていない
B
□朝食抜きである
C
□脂っこい料理が好き
D
□食後しばらくすると、みぞおちの右側あたりが痛む
E
□胃けいれんをおこしたことがある
F
□右肩や背中が痛むときがある
G
□肥満体である
H
□運動はほとんどしない
I
□極端なダイエットをしている
J
□近親者に胆石症にかかった人がいる
K
□女性で、母親や姉妹に胆石症の人がいる
L
□糖尿病である
M
□高脂血症(脂質異常症)である
N
□胆石症の検査をうけたことがない
チェックした数を合計します。
このチェックはあくまでも大まかな目安です。
生活習慣病改善の参考にしてください。
□
0〜2個
チェック数がほとんどないからといって、安心してはいけません。病魔はちょっとした油断からあなたの体の中に忍び込みます。
Dは胆石発作のサインです、思い当たる人はすぐに受診しましょう。またLMなどの人は、その病気を治すことが先決です。
□
3〜5個
あなたは中高年ですが、太っていませんか。そんな人は胆石症予備軍といえましょう。
日常生活であなたが胆石症にならない法は、チェックが付いた個所をひとつひとつ地道にクリアしていくことです。
□
6個以上
胆石症のリスクが高いですね。すでに胆石症になっているかもしれません。
すぐに受診して適切な指示を受け、生活習慣を見直し、治療すべきところは治療しましょう。
「このぐらいは大丈夫」といった自己判断が病気を進行させる原因のひとつになっています。
胆石症を甘く見ては危険です。胆石症の特徴的な症状は、腹部の激痛です。多くは右肋骨下が痛みますが、右肩や背中に痛みがあることもあります。
痛みは脂っこい食事をした後などに起こることが多く。「疝痛発作」といって、急激に起こり、数時間あるいはそれ以上続きます。胆のう炎を合併している場合は発作も見られます。
異常が発見されたということは病気にかかっていることです。
@
胆のう(胆管)炎は、胆石を合併していることが多いので、胆石症を予防し、リスクを軽減しましょう。
A
健康なときに、病気の根を断っておくのが予防です。それを「1次予防」といいます。
B
病気にかからない習慣を身につけるというのが「1次予防」の極意です。
C
それに対して「2次予防」は、病気が進行しないうちに見つけて、早く治してしまう。そのために健康診断や人間ドッグを利用することです。
D
再発や悪化を防ぐための予防は「3次予防」といいます。
◎
何といっても「よい習慣」を身につけることです。
胆石の正体
胆石のもとである胆汁は胆汁酸、コレステロール、リン脂肪質、水などで構成されています。通常はこれらの成分は胆汁中に溶けていますが、何らかの原因で溶けずに結晶を作り、それが胆石となります。
胆石にはコレステロールのとり過ぎなどが原因でできたコレステロール結石と、大腸菌などの細菌感染が原因のビリルビンが溶けにくいビリルビンカルシウムに変化し結石になると考えられています。以前は、両者の比率は約半分でしたが、最近は食生活の変化に伴い、コレステロール結石が大部分です。食事が変わったために急激に増加しています。ビリルビンとは血液の赤い色素であるヘモグロビン(酸素を運ぶ役目)が用済みになって黄色い色素になったものです。
極端なダイエットから胆石に
「今月は5kg減った」などとダイエット効果を自慢する人が意外に多いですが、そんな過激な減量はプロボクサーならいざ知らず、一般には“百害あって一利なし”です。
極端なダイエットでは、食事量が極端に減り、その結果、胆汁が濃縮されて胆石ができやすくなり、石自身も急速に大きくなり、短期間に胆石症を発症するようになります。低カロリーな過激ダイエットは若年層の胆石の大きな原因となっています。
健康のためのダイエットは体にやさしく、楽しく行いましょう。
胆石症にならない生活習慣改善
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栄養のバランスがとれた食生活をする
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食べすぎ、飲みすぎを避ける
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脂肪を多く含んだ食物を控える
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食物繊維をたくさんとる
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ストレスを上手に発散する
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標準体重を維持する
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極端なダイエットはしない
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年1回の健診、特に腹部の超音波検査(エコー)は必ずうける
あなたに合った生活習慣の改善は健康寿命を延ばします。
■監修 聖路加国際病院理事長日野原重明
月刊社会保険 08/03